紅蓮館の殺人 ( Audible 版) 感想 (ネタバレあり)
お膳立ては結構良かったんだけど、展開と畳み方はちょっと惜しかったかなあ
現役高校生探偵と元探偵の対決が軸になっているあたりや "探偵" とはを哲学的に問うスタンスも名探偵に甘美なる死をを結構連想した 甘美の前々作の時空旅行者の砂時計は館ものという意味で共通点があるが、時空はSF要素あったとはいえ館ものとしてかなりツボをおさえたつくりになってたので、比較すると紅蓮館はちょっと弱かったかなあとは 落日館(字合ってるのかな?音でしか聞いてないから...)はいろいろ仕掛けがあるっぽい感じだったのに、結局吊り天井ぐらいしか話に絡まなくて、もっとガツガツ殺人が起きてほしかった(サイコみのある感想)
外の尖塔...?だっけ?絶対関係するんだとおもってたけどなんもないんかい!
タカラダ家の面々が実は偽物っていうツイストは面白かったけど、それよりは素朴にもうちょい人数がいて一族モノだったら好みだったかなあ
あと saw みたいに実はユウザンが最前列でいろいろ謀っていた展開だったらアツかったなあ 終盤でのっそり起き上がって「いや〜おもろかったで、オマエラ」みたいな感じでさ
実は近くに爪が住んでいることも知っていて、知った上でアスカイを招いていたとか
一族モノにしたらもっとからくり屋敷の装置を使って事件もやれるし??とか
ツバサがカツラギのために稀覯本を回収しにいこうと〜ってくだりでカツラギとタドコロを詰めるわけだけど、そこのツイストもなあ.....
アスカイがいるところにたまたまアマサキの絵があるのは何者かの意志が介在してるだろう、というのならば、クガシマがたまたま衝動的に妻を殺してしまった日に因縁のあるアスカイがうっかり訪ねてくるわ、山火事は起きるわ、アスカイと旧知のタドコロとも鉢合わせてるわ、どんだけ天文学的な確率で物事が起きてんねん....とは
あと萎えた箇所としては、真タカユキが金庫を回収しにくるくだりで、やっぱりクローズドサークルもので外部の介入がある展開ってのはあんまり好きじゃないんだよなあ...
てか、真タカユキって偽タカユキの談に拠れば福岡?にまるっと引っ越しているそうだが、実父の家の近くが山火事だあ!って情報を聞きつけてわざわざ本人が出向いてくるってどういうこと??コイデに依頼してコイデとは連絡もつかねーし来た、という説明だったが、なんか部下とか秘書とかに行かせろよ感があるし、そもそも館が焼失した後万一金庫が遺ってたらその時介入して処分するなりなんなりすればよくなかった??
肝心の吊り天井は耳で聞いてるだけだとあんまり構造とかがよくわかってなくて、なんとなくでトリックとかも流してしまった
あとなんか絵の煤がどうだこうだみたいなのもいまいちピンとこなくて、まあそもそも状況的にクガシマが堅いのでは?という読みで進めてたので(クガシマをやたら卑小な男と描写しようとしているあたり逆に怪しくて...)そこの補強もなんか嵩増し感というか....
コイデがタカユキに対して「へぇ...」ってくだりはカツラギと同じく気になったけど、それで「盗賊では?」ってのはさすがに飛躍しすぎでは...
実際山行くと変な登山客ってよくいるし
高校生2人の瑞々しい感じは良かったし、やっぱり無骨にミステリーとして事件があってそれを解き明かすだけよりは、それを解く探偵の側にも倫理的というか、探偵の実存を揺るがすような事態になる方が好みなので方向性としては好きだった